Review Article

高齢者神経変性疾患における神経毒性タンパク質の除去を促進する

Nature Reviews Drug Discovery 17, 9 doi: 10.1038/nrd.2018.109

高齢者神経変性疾患(NDA)にはアルツハイマー病、パーキンソン病、前頭側頭型認知症、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症が含まれ、有病率が高いにもかかわらず治療法が不十分であるため重大な社会経済的課題となっている。NDAはプロテイノパチー(タンパク質症)と呼ばれることが多いが、誤って折りたたまれ凝集したタンパク質が存在していることによる。こうしたタンパク質は、本来の生理的役割を喪失し、神経毒性を獲得している。神経毒性タンパク質のオリゴマー型が蓄積し、伝播する根本原因の1つは、オートファジー–リソソームネットワークによる除去が不十分なことである。NDAにおいては、この他にもシャペロン介在性オートファジー、ユビキチン–プロテアソーム系、プロテアーゼによる細胞外除去、血液脳関門とグリアリンパ(glymphatic)系を介した血液中への汲み出しといった除去経路の機能が低下している。本論文では、最近になって明らかになった神経毒性タンパク質除去の促進機構、すなわちNDAの発症を抑制して、NDAの進行を遅らせる可能性のある戦略に焦点を合わせる。

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