Review Article

抗真菌薬のパイプライン:実態の把握

Nature Reviews Drug Discovery 16, 9 doi: 10.1038/nrd.2017.46

世界の免疫抑制状態にある人口が増加するにつれて侵襲性の真菌感染症が記録的な数で出現し続けているが、これは一部はHIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染患者数が増加しているためであり、また、重篤な基礎疾患の治療が成功しているためでもある。侵襲性真菌感染症の管理に現在(予防的治療に単独療法または併用療法として、あるいは経験的治療、先制治療、または特異的治療として)使用されている抗真菌薬、すなわち、ポリエン系、フルシトシン、アゾール系およびエキノキャンディン系抗真菌薬の効果は頭打ち状態にある。これらの抗真菌薬は臨床的に有用だが、例えばオフターゲットの毒性といったいくつかの限界があり、今では新たに薬剤耐性真菌が出現している。それゆえ、新しい抗真菌薬が必要である。本総説では、前臨床的な研究の取り組みによって得られた結果から種々の製薬業界の化合物まで、ロバストで動的な抗真菌薬パイプラインについて述べ、抗真菌薬の標的や戦略、化合物および想定される成果について解説する。

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