Review Article

基礎的なアポトーシスの発見から高度なBCL-2ファミリーの選択的阻害剤へ

Nature Reviews Drug Discovery 16, 4 doi: 10.1038/nrd.2016.253

遺伝子ファミリーのメンバーは、アポトーシス促進性とアポトーシス抑制性の細胞内シグナルを調節することでプログラム細胞死の調節に中心的役割を担っている。がんの場合には、BCL-2ファミリーの特定の遺伝子の調節異常によるアポトーシス回避が繰り返し起こっている。そのため、アポトーシス抑制性のBCL-2ファミリーの特定のタンパク質を選択的に阻害することが治療法となる可能性に大きな注目が集まっている。核磁気共鳴(NMR)を用いたスクリーニングと構造に基づく薬剤設計を組み合わせた手法により、初めての真のBH3(BCL-2 homology 3)模倣薬が開発された。その1つがナビトクラックス(BCL-2/BCL-XL二重拮抗薬)で、がん患者に対する有効性が認められた初めてのBCL-2ファミリー阻害剤である。そして、ナビトクラックス使用の臨床経験から選択性の高いBCL-2阻害剤ベネトクラックスが開発され、現在、米国では、1種類以上の治療をすでに受けている17p欠失慢性リンパ球性白血病患者のための治療薬として承認されている。また、がんにおいてアポトーシスを抑制する役割を果たすと断定されているBCL-2ファミリーのメンバーであるBCL-XLとMCL1(myeloid cell leukaemia 1)のそれぞれに対する強力で選択的な阻害剤の開発が最近になって進展した。本論文では、がん治療のためにBCL-2ファミリーのタンパク質を直接的選択的に標的とする方法に関する最新の進展について概説する。

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