Review Article

がん免疫チェックポイント阻害剤の動的バイオマーカーと静的バイオマーカーの対比:複雑さを解明する

Nature Reviews Drug Discovery 16, 4 doi: 10.1038/nrd.2016.233

最近、学術機関と製薬業界が協力し、がん免疫チェックポイント阻害剤に対する応答を予測できるバイオマーカーを明らかにするための取り組みを行っている。数種類のバイオマーカーが発見されているが、これらは信頼性が高いとはいえず、日常的な使用で十分厳密に応答を予測できない。今回我々は、免疫チェックポイント阻害剤に対する治療応答は複雑系の臨界状態の遷移であること論じる。こうした系は初期状態に対して感度が極めて高いが、臨界遷移を十分に前もって予測するのは難しいことが知られている。にもかかわらず、予兆となるシグナルは、臨界点に近づくと検出できる。数学およびネットワーク生物学における進歩によって、こうした予兆となるシグナルを発見することが可能になり始めている。我々は、このような動的バイオマーカーは、治療に応答する患者と応答しない患者を見分けるのに有用な可能性がある上、併用療法の新たな治療標的の発見を促進すると提案する。

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