Analysis

GPCR薬の創生動向:新たな薬物、標的、適応

Nature Reviews Drug Discovery 16, 12 doi: 10.1038/nrd.2017.178

Gタンパク質共役型受容体(GPCR)は、ヒトの病態生理に大きく関与しており、薬理学的に扱いやすいことを主な理由として最も精力的に研究されている薬剤標的である。本論文では、臨床試験が実施されている全てのGPCR薬とGPCR薬物の最新の分析結果を示す。これによって、分子の種類、薬剤標的、治療適応別の現在の動向が明らかになり、475種の薬剤(米国食品医薬品局(FDA)の承認薬全体の約34%)が108種のGPCRに作用するという結果も得られた。また、約321種の薬物が、現在、臨床試験段階にあり、そのうちの約20%が承認薬のない新規GPCR標的候補66種を標的としており、生物学的製剤、アロステリック調節物質、バイアス作動物質の数が増えた。GPCR調節物質の主要適応症については、糖尿病、肥満、アルツハイマー病への移行が見られるが、いくつかの中枢神経系障害を主要適応症とするものも多い。臨床試験で検討されたことのない224種(56%)の非嗅覚受容体は、特に遺伝性疾患と免疫系障害などの治療に広範囲に応用できる可能性を秘めているが、未開拓の状態にある。本論文の末尾には、GPCR薬の創生を分析し、その動向を推定する際にインターネット上で利用できる対話型情報源を示す。

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