Perspective

インテグリンを基盤とした治療薬:生物学的基盤と臨床的利用と新薬

Nature Reviews Drug Discovery 15, 3 doi: 10.1038/nrd.2015.10

インテグリンは、細胞接着とシグナル伝達に関与する活性化可能な分子である。現在、既知のヒトインテグリン24種のうち3種がモノクローナル抗体治療薬、ペプチド治療薬または低分子治療薬の標的になっている。血小板のインテグリンαIIbβ3を標的とする薬剤は、経皮冠動脈インターベンション後の血栓性合併症の予防に用いられ、リンパ球のインテグリンα4β1とα4β7を標的とする化合物は、多発性硬化症と炎症性腸疾患の治療に用いられている。また、炎症性腸疾患の治療に向けてβ7インテグリン(αインテグリンとαEβ7インテグリン)とそのリガンドを標的とする新たな抗体と低分子が現在臨床開発中である。インテグリンを基盤とした治療薬は、多くの患者に顕著な臨床的恩恵をもたらすことが明らかになっており、新規インテグリン阻害剤のさらなる開発に対する医学的関心が持続している。注目すべきなのは、現在使用され、あるいは後期臨床試験が行われているインテグリン拮抗薬のほぼ全てが、リガンド結合部位又はリガンド自体を標的としている点である。

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