Review Article

免疫腫瘍学における低分子薬のビッグチャンス

Nature Reviews Drug Discovery 14, 9 doi: 10.1038/nrd4596

2011年に規制当局の認可を得たイピリムマブ(ヤーボイ)は、持続的な臨床効果を有するがん免疫療法薬の新時代を開いた。こうした画期的ながん免疫療法薬の大部分は、T細胞チェックポイント受容体とそのリガンドとのタンパク質–タンパク質相互作用を阻害するモノクローナル抗体である。それに加えて、遺伝子組換えによる自己T細胞療法薬が血液がんに顕著な臨床反応を誘発することが最近になって実証された。このクラスの治療薬において明らかに欠落しているのが、これまでがん標的療法を支えてきた伝統的な低分子薬である。低分子薬を用いた免疫系の調節には、生物製剤を補完したり、生物製剤と相乗的に作用したりする可能性のある独自の利点がいくつかある。本総説では、低分子薬の標的とすることが最も適切である免疫腫瘍学的経路と機構、あるいは低分子薬のみが標的にできる免疫腫瘍学的経路と機構について取り上げる。こうした機構(例えば、免疫応答の調節、腫瘍微小環境への輸送、細胞浸潤)を標的とする薬物は、免疫腫瘍学的用途を著しく広げ、腫瘍を標的とする薬物と生物製剤による免疫療法の併用機会を拡大させようとしている。

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