Perspective

創薬の最先端でのチップ上の臓器

Nature Reviews Drug Discovery 14, 4 doi: 10.1038/nrd4539

臨床試験でのコストのかかる失敗を減少させるためには、ヒトの薬剤応答の前臨床段階での予測精度を向上させることが極めて重要である。細胞生物学、微細加工およびマイクロ流体技術の近年の進歩により、ヒトの臓器を機能単位で微細設計したモデルの開発が可能になった。チップ上の臓器として知られるこのモデルは、より強力な予測力を持つ、前臨床段階でのアッセイの基礎を提供すると考えられる。今回我々は、標的の同定と検証、標的に基づいたスクリーニング、および表現型スクリーニングのような前臨床段階の創薬のさまざまな分野においてチップ上の臓器技術を適用する新たな機会について検討する。我々はまた、チップ上の臓器によって可能になった新たな創薬の機会だけでなく、この技術の最大の可能性を理解する上での重要な課題についても論じる。vivoでの機能についての特性解析では大きな進展が見られ、また種々の研究から、こうしたプロテアーゼのさまざまな組織での重要な病態生理学的役割が明らかになった。カリクレインは今では、気道、循環器系、歯、脳、皮膚および腫瘍性疾患の新規治療薬開発のための魅力的な標的と考えられている。本総説では、カリクレインプロテアーゼの生理学的機能と病理学的意義の理解に関する最近の進歩について考察し、特にカリクレイン阻害剤の同定に関する進展を取り上げる。これらの進歩が組み合わさることで、選択された疾患に対する治療目的でのカリクレインの標的化が現実のものとなりつつある。

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