Review Article

炎症性疾患および変性疾患における治療標的である補体

Nature Reviews Drug Discovery 14, 12 doi: 10.1038/nrd4657

補体系は、感染に対する主要な自然免疫防御機構であり、炎症の重要な駆動因子である。ところが、こうした性質は害も及ぼし得る。補体系が不適切に、あるいは制御されずに活性化すると、局所あるいは全身性の炎症や、組織損傷、疾病が引き起こされることがある。補体系は、9種類の特異的プロテアーゼ、多数の分子からなる特有の活性化複合体と溶解複合体、さまざまな阻害因子、そして活性化断片に結合する多数の受容体が関与するタンパク分解反応の連鎖増幅系なので、薬剤開発の選択肢が非常に多い。薬剤設計は、補体系に関与する種々の分子の詳細な構造の理解が次第に深まっているため、容易になっている。現在市販されている抗補体薬は2つだけだが、感染症、炎症性疾患、変性疾患、外傷性疾患および腫瘍性疾患などの病気を対象にした薬剤が数々開発されつつある。本総説では、抗補体治療薬の歴史、現在の展望、そして今後の方向性について述べる。

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