Review Article

疾病状態における筋肉消耗:分子機構および期待できる治療法

Nature Reviews Drug Discovery 14, 1 doi: 10.1038/nrd4467

萎縮症は、使われていない(例えば、ギブス包帯で固定している間の)筋肉や、除神経された(例えば、脊髄損傷患者の)筋肉など特定の筋肉で起こる。筋肉消耗は、高齢者で(筋肉減少症として知られる状態)、あるいは絶食や栄養不良に対する生理学的応答として、また、慢性閉塞性肺障害、がん関連悪液質、糖尿病、腎不全、心不全、クッシング症候群、敗血症、熱傷、外傷などのさまざまな疾患で、全身的に生じる。筋肉量と筋力の急速な喪失は主として過剰なタンパク質分解に起因しており、これにはタンパク質合成の減少を伴うことが多い。こうした筋肉機能の喪失は、生活の質を低下させ、罹患率と死亡率の増加につながり得る。萎縮症を防止、または遅らせることが認められている手法は、運動だけである。しかし、期待できる治療薬がいくつか開発中であり、さらに、筋肉のタンパク質のバランスを調節する細胞機構について、数種類のサイトカイン(特にミオスタチン)、筋肉消耗を促進する一般的な転写プログラムの同定など、我々の理解は大きく進んでいる。今回、我々はこうした新しい洞察と、筋肉消耗に対抗するために合理的に設計された新しい治療法について議論する。

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