Review Article

神経炎症誘発性慢性疼痛に対する新しい標的

Nature Reviews Drug Discovery 13, 7 doi: 10.1038/nrd4334

既存の鎮痛剤は主に、ニューロンの刺激信号の変換と伝達を調節するもので、疾患の進行を制御するという点では効果が限られている。神経炎症(neuroinflammation)は、末梢神経系と中枢神経系における免疫細胞の浸潤、グリア細胞の活性化、あるいは炎症性メディエーターの産生が特徴であり、慢性疼痛の誘発と持続に重大な役割を果たすことが多くの研究から明らかになっている。本稿では、脊髄の神経炎症と慢性疼痛を促進する、ケモカイン、プロテアーゼ、WNT経路といった新しい標的に注目する。また、免疫細胞、グリア細胞、そしてニューロンに作用し、神経炎症、シナプス可塑性、疼痛を収束させる、抗炎症性・炎症収束性の脂質メディエーターにも注目する。過剰な神経炎症を標的とすることで、慢性疼痛とこれに関連する神経性疾患あるいは精神性疾患の新しい治療機会が得られるかもしれない。

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