Perspective

抗がん剤開発において腫瘍支持性の細胞装置を標的とする

Nature Reviews Drug Discovery 13, 3 doi: 10.1038/nrd4201

DNA複製や細胞分裂を標的とする従来の抗がん化学療法には重篤な副作用があるが、ある種のがんに対しては治療が奏功することが分かっている。変異あるいは過剰発現によって腫瘍促進機能を獲得した腫瘍性シグナル伝達タンパク質を標的とする薬剤は、特異性が増したものが次々と開発されるようになり、副作用は軽減するようになったものの、耐性獲得など限界もある。近年、クロマチン修飾因子、熱ショックタンパク質シャペロン、そしてプロテアソームといった複雑な多成分性の細胞装置を標的とする小分子抗がん剤が続々登場している。複雑な多成分性の細胞装置は、正常細胞にも不可欠だががん細胞にはさらに重要な支持機構である。本稿では、腫瘍支持性の細胞装置(DNA複製に関わるものは除く)を標的とする薬剤について、シグナル伝達を仲介する物質を標的とする薬剤と比較しながら、その利点と限界についての我々の見解を述べる。

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