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PI3Kとがん:教訓や挑戦、機会

Nature Reviews Drug Discovery 13, 2 doi: 10.1038/nrd4204

腫瘍細胞においてホスホイノシトール 3-キナーゼ(PI3K)活性化は中心的な役割を果たしているため、PI3K、そしてその下流のAKTやmTORといったキナーゼをがん治療の標的とする数多くの試みがなされてきた。しかし、最近の臨床データでは、PI3KやAKT、mTORを標的とする阻害剤を耐用量で単剤投与した場合では、その効果が限定されたものであることが示されている。唯一の例外は、慢性リンパ球性白血病に対するPI3Kδ阻害剤の効果だ。これは、細胞の内因性および外因性の活性が組み合わさることで、効果を発揮するためである。本稿では、PI3K–AKT–mTOR経路を標的とする阻害剤を臨床開発するための主な課題および機会について概説する。患者を選択し、免疫調節についての理解を深め、合理的な組み合わせで戦略的に投与することにより大きく焦点を当てることで、PI3K–AKT–mTOR経路を標的とする阻害剤ががんの標的治療薬として有望なことを認識できると思われる。

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