Review Article

抗生物質開発のための基盤

Nature Reviews Drug Discovery 12, 5 doi: 10.1038/nrd3975

治療困難な感染症に至る耐性菌の拡大は公衆衛生上の脅威となっているが、このような病原菌に有効な抗生物質の開発ペースは低下している。ほとんどの抗生物質は、1940年代から1960年代の抗生物質発見全盛期に、土壌中の放線菌をスクリーニングして単離されたものである。しかし、このような開発手法から望ましい結果を得ることが難しくなってきており、膨大な数の合成化合物ライブラリから標的を絞りスクリーニングを行うという手法に基づいた、新しい基盤を作り上げる試みは失敗に終わっている。その理由の一部には、このような化合物が細菌のエンベロープを通過するという能力に欠けていることにある。本稿では、抗生物質を開発するための有効な基盤を改めて作り直す戦略について述べる。このような戦略には、いまだ培養されていない細菌のような未開発の天然物を含む資源の調査、合成抗生物質の開発を可能にする化合物透過を制御する方法の確立、菌種特異的な抗生物質の開発、治療困難な感染症を引き起こす耐性菌を休眠期に根絶できるプロドラッグの同定などが含まれている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度