Review Article

タンキラーゼを標的とした治療学:PARPファミリーの有望性を広げる

Nature Reviews Drug Discovery 11, 12 doi: 10.1038/nrd3868

ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)タンパク質スーパーファミリーは、例えばDNA修復やWNTシグナル伝達のような細胞内プロセスにおいて、多岐にわたる役割を担っている。PARP酵素群を標的とする薬理学研究は、主としてPARP1ならびにそれと密接に関連したPARP2に中心に行われているが、最近の研究では、このファミリーに属する別の酵素であるタンキラーゼ1(TANK1;別名PARP5AあるいはARTD5)が、WNTシグナル伝達の制御にかかわっていることが明らかになり、この種の酵素を標的とした新たな阻害剤の開発への関心が高まっている。タンキラーゼの機能が、たとえばテロメアの長さの調節や肺の線維形成、ミエリン形成といったほかのプロセスにも関与していることは、タンキラーゼ阻害剤が広範な臨床的有用性を持つ可能性があることを示している。今回、我々は、タンキラーゼの生物学およびタンキラーゼ特異的な各種阻害剤の発見について論じる。また、一般のPARPファミリー阻害剤の臨床開発の前に立ちはだかっている難関についても検討する。

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