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CMOS互換のファブリーペローフィルターのランダムアレイに基づくビデオ速度のハイパースペクトルカメラ

Nature Photonics 17, 3 doi: 10.1038/s41566-022-01141-5

ハイパースペクトル(HS)イメージングによって、豊富な空間情報やスペクトル情報が得られるとともに、人間の知覚を超えて画像検査が拡張される。しかし、既存の方法には、低感度、低解像度、低フレームレートなど、欠点がいくつかあるため、HSカメラの使用は科学研究室に限定されている。今回我々は、一般的なRGBカメラに匹敵する感度と空間解像度で、現実世界の状況に関するスペクトル情報を収集できるビデオ速度のHSカメラを開発した。今回のカメラは、圧縮センシングを用いており、単色イメージセンサーの上に配置した64個の相補型金属酸化膜半導体(CMOS)適合ファブリーペローフィルターのアレイを用いて空間–スペクトルエンコーディングが実現されている。このアレイによって、その後の反復画像再構成において再構成誤差を最小化しつつ、高い光透過が可能になった。可視光について実験で測定された45%という感度、3 dBのコントラストで3 pxという空間解像度、VGA解像度で32.3 fpsというフレームレートは、実用的用途の要件を満たしている。我々は、さらに高速化するために、AIベースの画像再構成によって、34.4 fpsおよびフルHD解像度での動作が可能になることを示す。今回のHSカメラは、小型のサイズやデータ圧縮とともに、実用的な感度、解像度、フレームレートを可能にしたことで、スマートフォンやドローンなどの民生用途を含めて、現実世界のシナリオにおけるHS技術の採用に向けて大変有望である。

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