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高度に歪んだ融合π共役系分子設計に基づく超高純度グリーン有機発光ダイオード

Nature Photonics 17, 3 doi: 10.1038/s41566-022-01106-8

有機EL技術は、超高精細ディスプレイなどへの応用が期待されているが、効率と色純度のさらなる向上が望まれている。今回我々は、超高純度緑色発光体であるDBTN-2を設計・合成した。DBTN-2は、有機ホウ素をベースとし、高度に歪んだ融合π共役分子設計を特徴とする。この設計コンセプトにより、励起状態と基底状態の幾何学的構造の間の緩和エネルギーが大幅に減少し、半値全幅がわずか20 nmの発光を実現した。さらに、一重項状態と三重項状態の励起特性が異なることにより、スピン–軌道相互作用が強化され、これによって高効率な動作が可能となった。また、カルバゾール部位を複数導入することで、三重項状態の電荷共鳴型の励起が可能となり、これによって三重項状態の密度が高くなり、逆項間交差速度(kRISC)は1.7 × 105 s−1と速くなった。最適化された共振器効果やカラーフィルターなしで、DBTN-2を発光体として利用する超高純度緑色有機ELは、国際照明委員会(CIE)色座標(0.19, 0.74)で動作し、これは商用の緑色有機ELディスプレイの要件を満たしている。さらに、ほぼ100%の発光量子収率とドープ膜中の強い水平双極子配向との組み合わせにより、35.2%という優れた外部量子効率が得られ、同時に効率ロールオフも抑制されている。

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