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小型レーザープラズマ加速器によって駆動されるシード型自由電子レーザー

Nature Photonics 17, 2 doi: 10.1038/s41566-022-01104-w

自由電子レーザーは、波長が赤外領域からX線領域の高輝度コヒーレント放射を生成する。最近の短波長シード型自由電子レーザーの開発によって、今では、縦コヒーレンスをかつてないレベルで制御することが可能になり、複雑系における超高速ダイナミクスやX線非線形光学など、新しい科学の道が開かれた。そうした装置は最先端の大型加速器に依存しているが、GV cm<sup>-1</sup>の加速場を利用したレーザープラズマ加速器の進歩は、自由電子レーザーの小型ドライバーとして有望な技術を提示している。そうしたより小型の加速器を用いることによって、自己増幅自発放射型構成において、ショットノイズ型の放射の指数関数的増幅が最近実現された。しかし、この小型化法を用いて、時間コヒーレントなパルスを制御して生成することは、依然として大きな課題となっている。今回我々は、シード型構成において、レーザープラズマ加速器によって駆動される自由電子レーザーを実験的に実証し、放射波長の制御を達成したことを報告する。さらに、放出された位相ロックした放射とシードの相互作用に起因する干渉縞の出現によって、縦コヒーレンスが裏付けられている。我々は、今回の科学的成果に基づいて、極端紫外波長まで誘導可能な手段を予想しており、産業界、研究所、大学における数多くの応用の独特なツールとなる、より小型の自由電子レーザーへの道を開いている。

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