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100個の光子の分解と偏りのない乱数の量子生成

Nature Photonics 17, 1 doi: 10.1038/s41566-022-01105-9

超流動体や超伝導体などに観測されるような巨視的量子現象は、有望な技術的進展や基礎物理の最も重要な検証のいくつかにつながっている。現在、光の量子検出の大半は、微視的スケールに移っている。このスケールでは、アバランシェフォトダイオードは常に高い感度で真空と単一光子事象を識別するが、より大きな光子数の事象を区別できない。さらに、計算、センシング、暗号技術を含むさまざまな量子情報用途では、測定を行って光子数を分解できることが非常に望ましい。真の光子数分解検出器は存在するものの、今のところその能力は10個のオーダーの光子の分解に限られており、伝令付き検出に基づくいくつかの量子状態生成方法には小さ過ぎる。今回我々は、量子効率の高い転移端センサーの多重化に基づく検出スキームを実行することによって、光子測定をメゾスコピック領域へ拡張し、0~100個の光子数を正確に分解した。次に我々は、固有の偏りのない量子乱数発生器を実装することによって、今回のシステムの用途を実証する。この方法は、光子数基底におけるコヒーレント状態のサンプリングに基づいており、環境雑音、レーザーの位相ゆらぎや振幅ゆらぎ、損失、検出器の非効率性だけでなく、盗聴に対してもロバストである。今回の検出スキームは、真の乱数発生器の枠を越えて、量子測定を実装する手段や、フォトニック量子情報処理に有用な工学的技術としての役割を果たす。

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