Research Highlights

曲がりくねったボロフェン:フレキシブルエレクトロニクス

Nature Nanotechnology 2016, 1216 doi: 10.1038/nnano.2016.250

同一の材料で伸縮性と導電性が両立するのはまれであり、この法則の例外を見いだすことはまだ困難である。二次元(2D)材料では幅広い電子特性が得られ、特にグラフェンは輸送特性に優れた導電体である。2D材料は、原子レベルで薄いので極めて曲げやすいが、面内変形にあまり耐えられないので、フレキシブルデバイスに直接組み込むことができない。

ノースウェスタン大学、アルゴンヌ国立研究所、ライス大学(いずれも米国)のB Yakobson、M Hersam、N Guisingerたちは今回、ボロフェンという新種の極めて伸縮性の高いホウ素の2Dシートについて報告している。成長温度が高いと、銀(111)基板にエピタキシャル法で形成したボロフェンは、特異な波形構造を取る。銀基板表面のステップが核生成中心となって、ボロフェンの波状パターンが形成されるのである。周期的なナノスケールの波があるボロフェン相が観察され、理論解析によって、こうした相がエネルギー的に有利であることが示されている。この波状のボロフェンシートは、曲げ剛性がこれまでで最も小さいと同時に、金属性を十分に維持しているので、平坦で剛性の高いグラフェンの代替となる可能性がある。著者たちは、ボロフェンの電子特性を損なわずに周期的座屈を維持しながら、波状のボロフェンを銀(111)基板から切り離して弾性基板の上に移すことができる可能性があると示唆している。

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