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記憶もトリップ

Nature Medicine 9, 12 doi: 10.1038/nn1801

Nature Neuroscience誌12月号の論文によると、マリファナの活性成分であるテトラヒドロカンナビノイド(THC)は、ラット海馬の神経細胞間の同調した活動を妨げる。これにより薬物が記憶を障害する説明がつくかもしれないと著者らは示唆している。

 Gyorgy Buzsakiらは、ラット海馬の多数の神経細胞を記録した。海馬は記憶に関する重要な脳内領域とされている。この領域の神経細胞は通常、活動電位、すなわち神経インパルスを1秒間に約4〜10回協調して発火するグループを形成する。しかし、THCまたは関連合成薬物を海馬に注入したところ、この同調性が途絶した。活動電位の生じた総数は薬物によって変化せず、同時に起こるという傾向だけが変化した。薬物によって神経活動の同調性が低下した動物は標準的な記憶試験をうまく行えなかったことから、同調した神経発火は正常な海馬機能にとって重要であることが示唆される。

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