Article

受動喫煙:受動喫煙への曝露が健康に及ぼす影響 ─ 証明責任研究

Nature Medicine 30, 1 doi: 10.1038/s41591-023-02743-4

喫煙率は時代とともに徐々に低下してはいるが、受動喫煙への曝露は非喫煙者に害を及ぼし続けており、その影響は、特に低・中所得国に住む子どもや女性に大きい。本研究では、2022年7月までに発表された文献を対象に、受動喫煙への曝露が9つの健康転帰に及ぼす有害な影響について包括的にレビューを行った。続いて、不確実性をもたらすさまざまな要因を考慮して、受動喫煙への曝露と健康転帰との関連をそれぞれ定量化し、証明責任リスク関数(Burden of Proof Risk Function)の方法論を用いて、我々の分析を裏付ける科学的根拠の強さを評価した。その結果、9つの健康転帰全てが受動喫煙への曝露と関連していることが分かった。控え目な評価でも、受動喫煙は、虚血性心疾患、脳卒中、2型糖尿病、肺がんのリスクを、それぞれ少なくとも約8%、5%、1%、1%上昇させると推定され、また、これらの有害な関連を支持する科学的根拠は弱い(星2つ)と評価された。一方、受動喫煙と、中耳炎、喘息、下気道感染症、乳がん、慢性閉塞性肺疾患との有害な関連を支持する根拠はさらに弱かった(星1つ)。これらの有害な関連を支持する根拠は必ずしも強いものではないが、今回の結果は健康に及ぼす受動喫煙の有害な影響を改めて確認させるものである。公衆衛生政策と教育イニシアチブを組み合わせた、能動喫煙と受動喫煙を減らす取り組みを優先的に進める必要がある。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度