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転倒予防:地域在住の高齢者における転倒予防のためのエクサゲームと脳トレ ─ 無作為化対照試験

Nature Medicine 30, 1 doi: 10.1038/s41591-023-02739-0

エクサゲーム(exergame)によるトレーニングは、テレビゲームを用いて運動を促すもので、転倒の認知的および身体的なリスク因子への取り組みとして活用することができ、高齢者の転倒予防に有望な方法である。本研究では、地域在住の高齢者を対象にした無作為化臨床試験を行い、smart±stepゲーム機を用いた家庭用コンピューターゲームによる2種類の介入(座って行う認知機能トレーニング〔脳トレ〕と、足踏みの運動支援ゲーム〔エクサゲームトレーニング〕)の転倒予防に対する有効性を、最小限の介入を行う対照群と比べて評価した。参加者は、地域社会で自立して生活している65歳以上の人とし(n = 769、女性71%)、(1)座った状態でコンピューターのタッチパッドを用いて認知機能トレーニングを行う群、(2)コンピューターに接続されたマット上で足踏みのエクサゲームトレーニングを行う群、(3)対照群(健康的な加齢と転倒予防に関する教育用小冊子を配布)の3つの群のいずれかに無作為に割り付けられた。転倒率は12カ月にわたって毎月報告された。本試験の主要評価項目は、12カ月間の転倒率であり、エクサゲームトレーニング群では対照群と比較して転倒率は有意に低下したが(発生率比 = 0.74、95%信頼区間 = 0.56~0.98)、認知機能トレーニング群と対照群の間に統計学的な差は見られなかった(発生率比 = 0.86、95%信頼区間 = 0.65~1.12)。副次評価項目は、身体機能や認知機能に及ぼす効果であったが、これらの介入には有益な効果は見られず、また、介入による重篤な有害事象は報告されなかった。この試験の結果は、地域在住の高齢者での転倒予防への介入として、足踏みのエクサゲームトレーニングの使用を支持している。この介入は自宅で行うことができ、必要な設備も最小限であるため、転倒や転倒による傷害の問題が増えていることに対処するための公衆衛生的介入として拡張性を持つ可能性がある。オーストラリアおよびニュージーランドの臨床試験登録番号:ACTRN12616001325493。

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