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肺がん/ネオアジュバント療法:肺がんネオアジュバント療法後の病理学的奏効と生存の間の関連性

Nature Medicine 30, 1 doi: 10.1038/s41591-023-02660-6

免疫療法と化学療法を併用するネオアジュバント療法は、無イベント生存率(EFS)と病理学的完全奏効(pCR、原発性腫瘍〔PT〕とリンパ節〔LN〕中の残存生存腫瘍〔RVT〕が0%)を改善し、切除可能肺がんの治療に承認されている。ネオアジュバント療法後の病理学的奏効の評価は、進行がんに対するX線画像検査に基づく奏効の評価と同等だと考えられる。しかし、pCRや主要病理学的奏効(MPR)(≤ 10% RVT)ではない%RVT閾値については調べられていない。今回、切除可能肺がん患者を対象に、ニボルマブ(抗PD-1抗体)と化学療法を併用するネオアジュバント療法を評価する無作為化第3相CheckMate 816試験(NCT02998528)において、病理学的奏効の前向き評価を行った。がん種横断的スコアリングシステムを用いて、PTとLN中においてRVT、退縮、ネクローシスが定量化され(0〜100%)、事前指定した探索的解析でEFSとの関連が調べられた。LNを含めるかどうかにかかわらず、RVT-PTが0%の場合は、RVT-PTが0%を超える場合より、EFSの改善が見られた(ハザード比〔HR〕= 0.18)。RVT-PTから、ニボルマブと化学療法を併用する場合のEFSが予測され(曲線下面積〔AUC〕= 0.74)、RVTが0〜5%、> 5〜30%、> 30〜80%、> 80%の患者では、(無作為化から)2年の時点でのEFS率はそれぞれ90%、60%、57%、39%だった。RVTは1%ごとに、EFSに対するHRが0.017増加した。RVTにPTとLNの病理学的応答を組み合わせると、転帰の区別に有用だった。X線画像検査に基づく奏効および循環血中腫瘍DNA(ctDNA)クリアランスと比較すると、%RVTはEFSに最も近似していた。これらの知見は、病理学的奏効が、生存率の新たな代替指標であることを支持している。今後、肺がんや他のタイプのがんにおいて、全範囲の%RVTを評価する必要がある。ClinicalTrials.gov登録番号:NCT02998528。

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