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アダプティブデザイン/肺がん: HER2変異陽性の進行非小細胞肺がんにおけるピロチニブによる一次治療 ─ 患者中心第2相試験

Nature Medicine 29, 8 doi: 10.1038/s41591-023-02461-x

患者中心の臨床試験を実施し、希少な遺伝的変異を持つ非小細胞肺がん(NSCLC)患者における標的治療の選択肢を探索するため、我々は、適格基準を拡大させた条件で基準を満たした(CF)コホートとコンパッショネート使用(CU)コホート、さらに前向きリアルワールド試験(RWS)の3つからなるアダプティブデザインの第2相アンブレラ試験を並行して開始した。本論文では、治療歴のないHER2変異陽性の進行NSCLC患者48人に対して、汎HER受容体チロシンキナーゼ阻害剤ピロチニブ(CFおよびCUコホート)、あるいは医師の選択(RWSコホート)により治療した場合について、有効性および安全性のデータを報告する。第2相試験CFコホート(n = 28)では、主要評価項目が達成され、ピロチニブ治療後の客観的奏効率は35.7%であった。副次評価項目には、疾患制御率(89.3%)、無増悪生存期間(PSF)の中央値(7.3カ月)、全生存期間(OS)の中央値(14.3カ月)、および毒性であり、毒性はグレード3あるいは4の治療関連有害事象が3人の患者で見られた(10.7%)が、許容可能であった。第2相試験のCUコホート(n = 12)では、ピロチニブ治療後の客観的奏効率が16.7%、疾患制御率が83.4%、PFSの中央値が4.7カ月、OSの中央値が14.2カ月であった。RWSコホート(n = 8)は、医師が選択した治療に対して奏効を示さなかったが、PFSおよびOSの中央値は、それぞれ3.0カ月と12.2カ月であった。第2相アンブレラ試験のclinicaltrials.gov登録番号はNCT03574402、RWSのclinicaltrials.gov登録番号はNCT03605602。

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