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希少疾患の研究者は臨床試験にユニークな手法を持ち込む開拓者である

Nature Medicine 29, 8 doi: 10.1038/s41591-023-02333-4

希少疾患の治療法開発での重大な難問は「希少」だという点にある。希少疾患では新しい手法が使われる場合が多く、安全性と有効性の実証が必要となり、安全性研究で動物モデルが使われたり、試験が前臨床段階から始まることもある。またバイオマーカーを使用したり、プラセボ群を設けず単群試験を行うこともある。治療群を固定した従来の臨床試験は希少疾患には不向きで、経過を見ながら別の方法で無作為化したり、患者を追加したり、投与量を変えたりして調整するアダプティブ試験が選択される場合もある。被験者を増やすためには、国内や世界中の多様な施設から患者が参加する分散型試験がある。また希少疾患の中には、リアルワールドのデータから治療効果を判断できるものもある。現在、リアルワールドデータの主な情報源は電子カルテだが、今後はスマートウォッチなどのウエアラブル端末の使用が増えると予想される。希少疾患の中には、低・中所得国での罹患率が高く、治療法の試験がほとんど行われていないものもある。臨床試験は、罹患率が最も高い国で実施されるべきであり、低所得者の罹患率が高い疾患の治療に役立つ結果が得られることが必要だ。

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