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遺伝的多様性:ロサンゼルス地域の多様な祖先系集団を持つ人たちにおける疾患リスクと医療利用

Nature Medicine 29, 7 doi: 10.1038/s41591-023-02425-1

個人の疾患リスクは、共有する遺伝的背景や環境要因のため、自身が属する集団に影響される。医療において集団の詳細な遺伝的構造を研究することは、健康格差を見つけて軽減させるためにも、また個別化介入を開発する上でも重要である。集団の詳細な遺伝的構造に基づいて臨床診断や医療利用のパターンを評価するために、我々は、UCLAのATLAS(ATLAS Community Health Initiative:ATLAS地域保健イニシアチブ)の一部として3万5968人の患者の遺伝的データと電子カルテを利用した。我々は、共通祖先を持つために共有されるゲノム断片を用いた遺伝的近縁度の1つであるIBD(identity by descent:同祖性)を用いて、個人のグループ(IBDクラスター)を定めた。アフリカ・カリブ系、プエルトリコ系、レバノン系キリスト教徒、イラン系ユダヤ人、グジャラート系といった患者クラスターが、全部で376クラスター見いだされた。我々の解析によって、疾患診断とクラスターの間に1218の有意な関連、および専門医受診とクラスターの間に124の有意な関連が見いだされた。我々はまた、病因となる対立遺伝子の分布を調べ、特定のクラスターにおいて有意に頻度の高い189の対立遺伝子を見つけた。この中には、集団スクリーニング検査に通常含まれていないものも多数含まれていた。全体として本研究は、調査が遅れているコミュニティーにおける健康の理解を向上させ、健康不平等のさらなる研究のための基盤を提示する。

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