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マイクロバイオーム:気道のマイクロバイオームはヒトでの環境曝露と呼吸器健康状態の相互作用を仲介する

Nature Medicine 29, 7 doi: 10.1038/s41591-023-02424-2

環境汚染への曝露は、呼吸器の健康状態に影響を及ぼす。曝露と呼吸器の健康状態との相互作用の基礎にある気道の微生物生態系の役割は、まだ明らかにされていない。本論文では、慢性閉塞性肺疾患の地域規模の調査プログラムを通じて、中国広東省の1651人の世帯員から採取した誘発喀痰について、細菌類(n = 1651)、真菌類(n = 719)、メタゲノム(n = 1128)の人口集団ベースの調査を行った。喫煙と高濃度のPM2.5は、それぞれ細菌群と真菌群を介した肺機能障害と関連しており、曝露は、慢性閉塞性肺疾患で見られるパターンと類似した細菌と真菌間の微生物相互作用の増強と関連していることが明らかになった。職業汚染に伴って見られるナイセリア属(Neisseria)細菌の増加は、高負荷の呼吸器症状のリスク増加(2.25倍)と関連し、アスペルギルス属(Aspergillus)真菌の増加とも結び付いていた。我々は、マイクロバイオームに基づく健康状態の個別化指標を開発した。この指標は曝露、呼吸器の症状、疾患と共変動し、世界的データセットへの一般化可能性を備えている。我々の結果は、環境リスクに対する予防的方策のための情報を提供し、気道マイクロバイオームを利用した介入法の指針となる可能性がある。

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