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白血病/がん免疫療法:白血病小児における持続性CD19 CAR T細胞と関連する転写シグネチャー

Nature Medicine 29, 7 doi: 10.1038/s41591-023-02415-3

再発性/難治性小児前駆B細胞急性リンパ芽球白血病(R/R B-ALL)において、CD19を標的とするキメラ抗原受容体(CAR) T細胞は多くの場合、長期的な寛解を誘導するが、そのためにはCAR T細胞が持続していることが必要とされる。本研究では、CARPALL試験に登録されたR/R B-ALLの小児10人を対象に、CD19 CAR T細胞の注入製剤、および注入後最長5年までの血液と骨髄の連続試料を用いて、一細胞レベルでの遺伝子発現とT細胞受容体のハイスループット塩基配列解読を行い、体系的に解析した。我々は長期生存CAR T細胞では、疲弊様記憶状態かつ独特な転写シグネチャーを持つCD4/CD8ダブルネガティブ表現型が生じることを示す。この持続性シグネチャーは、長期生存治療応答を示した小児で塩基配列データが十分であった全員(4/4、100%)の循環血中CAR T細胞で優位だった。このシグネチャーはいろいろなT細胞サブセットやクロノタイプで見られ、持続性のCAR T細胞は転写的に収束することを示している。この持続性シグネチャーは、異なるCD19 CAR T細胞製剤が投与された後の寛解が10年に及ぶ慢性リンパ球性白血病の2人の成人患者でも検出された。小児および成人の広範な健常組織と病気組織に含まれるT細胞の一細胞トランスクリプトーム解析によって、この持続性シグネチャーは、長期生存CAR T細胞に特異的である可能性が明らかになった。これらの知見は、臨床的に有効で持続性のCD19 CAR T細胞には、普遍的な転写シグネチャーが存在する可能性を示している。

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