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アルコール摂取:中国人男性におけるアルコール摂取量と200を超える疾患のリスク

Nature Medicine 29, 6 doi: 10.1038/s41591-023-02383-8

アルコール摂取は世界中で年間約300万人の死亡原因となっているが、多くの疾患との関係については依然解明されていない。本論文では、中国カドリーバイオバンク(China Kadoorie Biobank)の51万2000人を超える成人(男性が41%)について、12年間にわたりアルコール摂取量と207の疾患の関連について調べた。この中には遺伝子型がALDH2-rs671やADH1B-rs1229984である人が16万8050人含まれている。またこの成人のデータには、ICD-10コードが付された入院事象が110万以上登録されている。ベースラインのデータとして、33%の男性が定期的に飲酒していた。男性においては、アルコール摂取は61疾患と正の関連が認められた。この疾患の中には、白内障(n = 2,028、ハザード比 1.21、95%信頼区間 1.09~1.33、週280 g摂取当たり)や、痛風(n = 402、1.57、1.33~1.86)など、世界保健機関によってアルコール関連と定義されていない33疾患が含まれていた。遺伝子型から予測された平均アルコール摂取量は、WHOにより定義されたアルコール関連疾患(n = 28,564、1.14、1.09~1.20)および新規アルコール関連疾患(n = 16,138、1.06、1.01~1.12)、さらに、肝硬変(n = 499、2.30、1.58~3.35)、脳卒中(n = 12,176、1.38、1.27~1.49)および痛風(n = 338、2.33、1.49~3.62)などの特定の疾患と正の関連が認められたが、虚血性心疾患との関連は認められなかった(n = 8,408、1.04、0.94~1.14)。女性においては飲酒率が2%であったために、自己申告のアルコール摂取量と疾患リスクとの関連を評価するには統計学的検出力が足りなかった。しかし、男性の過剰なリスクは遺伝子型による多面効果の影響によるものではないことは、女性での遺伝的知見から示唆された。中国人男性においては、アルコール摂取は複数の疾患リスクを高めており、アルコール摂取量を減らすための予防策を強化する必要性が浮き彫りになった。

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