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AI創薬の現状

Nature Medicine 29, 6 doi: 10.1038/s41591-023-02361-0

数年前まで、人工知能(AI)による創薬に興味を示す投資家はなかなか見つからなかった。しかし今は、製薬大手がAIの有用性を確信しているだけでなく、既に臨床試験に進んでいるAI医薬品もある。AIは正確な分子を精密設計するだけでなく、どの患者に効くかを知るためにも役立つ。また、膨大な数の実験や画像のデータの分析にも使用されている。AIはタンパク質の構造予測も行うが、従来の生化学的方法とは異なり、データから予測パターンを見つける。さらにはAIシステムの支援で自然界には存在しない全く新しいタンパク質を作ることも可能だ。AIはただヒット医薬品を生み出すためだけでなく、世界の貧困層が主に罹患する疾患に対する薬剤の開発にも利用されている。AIは科学者に取って代わるものではなく、科学者を補完するものだ。AIによって科学者は膨大な情報を入手し、AIに適切な質問を繰り返すことで、何度でも試行することができる。製薬業界がAIによって大きく変わりつつあることは間違いないが、AI医薬品の効果についてはまだ未知数であることを付け加えておく。

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