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糖尿病:アジア太平洋地域における2型糖尿病の二次治療または三次治療としてのチルゼパチドとインスリングラルギンの比較 ― SURPASS-AP-Combo試験

Nature Medicine 29, 6 doi: 10.1038/s41591-023-02344-1

チルゼパチドは週1回投与のGIP/GLP-1受容体アゴニストである。今回の非盲検無作為化第3相試験では、メトホルミンで制御できない(スルホニル尿素剤の併用の有無にかかわらず)2型糖尿病(T2D)のインスリン未投与成人(18歳以上)が、中国、韓国、オーストラリア、インドの66の病院で、チルゼパチド5 mg、10 mg、15 mgの週1回投与群、インスリングラルギン1日1回投与群に1:1:1:1に無作為化された。主要評価項目は、チルゼパチド10 mgおよび15 mgの投与開始をベースラインとしたときの40週後のヘモグロビンA1c(HbA1c)の平均変化量の非劣性とした。主な副次評価項目には、40週時点でのHbA1c減少、HbA1c 7%未満達成患者の割合、および体重減少におけるチルゼパチド群の全用量での非劣性および優越性が含まれる。合計として917例の患者(中国で763例〔83.2%〕)が、チルゼパチド5 mg投与群(n = 230)、10 mg投与群(n = 228)、15 mg投与群(n = 229)、インスリングラルギン投与群(n = 230)に無作為に割り付けられた。チルゼパチド群は全用量で、ベースラインから40週時点までのHbA1c減少の最小二乗平均(s.e.)がインスリングラルギン群よりも非劣性かつ優れていた。つまり、HbA1c減少の最小二乗平均値(s.e.)は、チルゼパチド5 mg群−2.24%(0.07)、10 mg群−2.44%(0.07)、15 mg群−2.49%(0.07)、インスリングラルギン群−0.95%(0.07)であり、インスリングラルギン群に対する治療間差の推定値の範囲は−1.29%から−1.54%であった(チルゼパチド群は全用量でP < 0.001)。40週時点のHbA1c7.0%未満達成患者の割合は、チルゼパチド5 mg群(75.4%)、10 mg群(86.0%)、15 mg群(84.4%)が、インスリングラルギン群(23.7%)に対して高かった(チルゼパチド群は全用量でP < 0.001)。チルゼパチド群は全用量で40週時点で優れた体重減少をもたらした。つまり、チルゼパチド5 mg、10 mg、および15 mgにおいて、それぞれ−5.0 kg(−6.5%)、−7.0 kg(−9.3%)、−7.2 kg(−9.4%)減少であるのに対し、インスリングラルギン群では1.5 kg(+2.1%)であった(チルゼパチド群は全用量でP < 0.001)。チルゼパチドの最もよく見られる有害事象は、軽度から中等度の食欲不振、下痢、吐き気であり、重度の低血糖は報告されなかった。チルゼパチドは、中国を中心にした太平洋地域のT2D患者集団に対して、インスリングラルギンよりも優れたHbA1c減少効果を示し、全般的に忍容性が良好であった。ClinicalTrials.gov 登録番号:NCT04093752。

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