Consensus Statement

小児がん:小児がん患者の生存の質(QOS:quality of survival)を評価するための国際共同合意声明

Nature Medicine 29, 6 doi: 10.1038/s41591-023-02339-y

小児がんの治療目的は、全てのがんを治すことに変わりはない。生存率が向上するにつれて、長期的な健康上の転帰(アウトカム)がケアの質を決定するようになってきている。国際小児がんアウトカムプロジェクト(International Childhood Cancer Outcome Project)では、小児がんのケアについてアウトカムに基づく評価を可能とするために、世界中の関係者(がんサバイバー、小児がん専門医、他の医師、看護従事者、医療補助従事者、心理社会的ケア従事者、神経認知ケア従事者)が参加して、ほとんどの小児がんタイプに関するコアアウトカムセットを開発した。医療従事者(n = 87)およびオンラインのサバイバーフォーカスグループ(n = 22)を対象とした調査によって、17の小児がんタイプ(5タイプの血液悪性腫瘍、4タイプの中枢神経系腫瘍、8タイプの固形がん)に関する独自のアウトカム候補リストが作成された。第2ラウンドのデルファイ調査では、世界中の68施設の医療従事者435人(第1ラウンドの回答率70〜97%、第2ラウンドの回答率65〜92%)によって、小児がんのサブタイプごとに4~8の身体的なコアアウトカム(例えば心不全、生殖能力低下、二次がん)と生活の質(QOL)の3つの側面(身体的、心理社会的、神経認知的)の選択が行われた。コアアウトカムを評価する方法は、医療記録の抽出、アンケート調査、既存のレジストリとの連携で構成されている。この国際小児がんコアアウトカムセットは、患者、サバイバー、医療従事者にとって価値のあるアウトカムを表しており、施設の進歩状況や複数施設間での比較指標を評価するために使用できる。

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