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前立腺がん:前立腺がんスクリーニングのための遺伝的に補正したPSA値

Nature Medicine 29, 6 doi: 10.1038/s41591-023-02277-9

前立腺がんに対する前立腺特異抗原(PSA)スクリーニングは、臨床的に問題にならない腫瘍の過剰診断や過剰治療を増やすことになるため、議論が分かれている。がん以外によるPSA変動に関する構成的な遺伝的決定因子を明らかにすれば、スクリーニングの有用性が向上する可能性がある。本研究では、9万5768人の男性を対象にした複数祖先系メタ解析において、ゲノム規模の有意性を示す128の関連を見つけ(P < 5 × 10−8)、構成的なPSAの変動の9.61%を説明するPSA多遺伝子スコア(PGSPSA)を開発した。PGSで補正したPSAを使うと、ヨーロッパ系の男性では陰性の前立腺生検を最大で31%回避できたが、前立腺がん患者の生検は12%少ない結果となった(大部分はグリーソンスコア7未満)。前立腺がん106例および対照群2万3667例では、遺伝的に補正したPSA(オッズ比〔OR〕= 3.44、P = 6.2 × 10−14、曲線下面積〔AUC〕= 0.755)は、補正していないPSAよりも、アグレッシブな前立腺がんに対する予測性能が優れていた(OR = 3.31、P = 1.1 × 10−12、AUC = 0.738)。前立腺がんのPGSのみを用いる場合(AUC = 0.712)と比較して、遺伝的に補正したPSAをも含めた場合は、アグレッシブながんの検出が向上した(AUC = 0.786、P = 7.2 × 10−4)。我々の結果は、前立腺がんスクリーニングの個別化バイオマーカーとしてPGSを組み込むことは、有用である可能性を明らかにしている。

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