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マイクロバイオーム/がん免疫療法:抗生物質による破壊がない場合の腸内マイクロバイオームはCD19-CAR-T細胞がん免疫療法に対する臨床応答と関連する

Nature Medicine 29, 4 doi: 10.1038/s41591-023-02234-6

腸内マイクロバイオームが、がん免疫療法の有効性を変更させうることを示唆する証拠が増えている。我々は、ドイツと米国の5つのセンターにおけるB細胞リンパ腫の患者コホート(ドイツn = 66、米国n = 106、合計n = 172)を対象にした解析で、CD19を標的とするキメラ抗原受容体(CAR)-T細胞療法に先立って行われた広域スペクトル抗生物質による治療(「高リスク抗生物質」)が不良な転帰と関連することを明らかにするとともに、この影響の交絡因子として、高リスク抗生物質を前投与された患者の持つ治療前の腫瘍量や全身性炎症の増大が考えられることを示す。この交絡因子の影響を解明し、さらに、CAR-T有効性に影響する、抗生物質に隠されたマイクロバイオームの兆候を探るために、高リスク抗生物質の非曝露患者集団に焦点を当てて解析した。実際に、これらの患者では、CAR-T投与前のBifidobacterium longumおよびマイクロバイオームにコードされるペプチドグリカンの生合成と、CAR-T治療が関わる6カ月生存率ないしはリンパ腫の進行との間に有意な相関が認められた。さらに、CAR-T治療前のマイクロバイオームに基づく予測モデルの機械学習アルゴリズムは、まず高リスク抗生物質非曝露群のドイツのコホートで訓練させ、次に対応する米国のコホートで妥当性を確認させることで、長期治療応答者と非治療応答者を確実に分離できた。抗生物質非曝露群の患者のBacteroidesRuminococcusEubacteriumAkkermansiaは、CAR-Tの応答性を決定する上で最も重要で、またAkkermansiaは投与前の末梢T細胞数とも関連があった。我々は、臨床的かつ地理的な違いを超えて保存されたマイクロバイオームの特徴を見いだしたことによって、CAR-T細胞免疫療法に対するマイクロバイオームに基づく転帰の予測がコホート横断的に可能になると考えられる。

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