Editorial

生殖補助医療技術は利用しやすく持続可能でなければならない

Nature Medicine 29, 12 doi: 10.1038/s41591-023-02741-6

世界的な出生率の驚異的な低下に対処するため、各国政府は生殖補助医療技術(ART)をより利用しやすく、かつ公平な技術とすべく、投資する必要がある。1978年に体外受精によって最初の赤ちゃんが誕生して以来、この技術は広く利用されるようになったが、高額な費用はART導入の大きな障害となっている。また多くの国では、独身者、トランスジェンダー、同性カップルによる利用は認められていない。さらにART治療には精神的・肉体的苦痛を伴うことから、社会的支援も必要である。一般に、ARTは妊娠を希望する人だけに恩恵をもたらすと考えられがちだが、政府によるART技術への投資は、社会的にも大きな利益をもたらし得る。一方で、どんな技術や進歩にも欠点があり、ARTには多胎出産の可能性が高いなどのリスクがある。リスクを明確に伝えることはもちろん、体外受精の登録に透明性を持たせ、有効な臨床試験を活発化させることにより、ARTを改善し、それをより持続可能なものとしていくことが期待される。

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