Article

二官能性分解薬:化膿性汗腺炎およびアトピー性皮膚炎におけるIRAK4分解薬 ─ 第1相試験

Nature Medicine 29, 12 doi: 10.1038/s41591-023-02635-7

Toll様受容体やインターロイキン1(IL-1)受容体によって引き起こされる炎症は、化膿性汗腺炎(HS)やアトピー性皮膚炎(AD)の病態生理に関わっており、IL-1受容体関連キナーゼ4(IRAK4)を介する場合が多い。今回、無作為化二重盲検プラセボ対照第1相試験で、IRAK4分解薬であるKT-474(SAR444656)について解析した。主要評価項目は安全性と忍容性とした。副次評価項目は、中等症〜重症のHS患者および中等症〜重症のAD患者における薬物動態、薬力学、そして臨床活性であった。KT-474は、105人の健常ボランティア(HV)に対して単回投与および14日間連日投与を行い、その後、21人の患者の非盲検コホートで28日間投与を行った。HVの血中ではIRAK4の分解が観察され、平均減少率は、600~1600 mgの単回投与後では93%以上、50~200 mgの14日間投与後では95%以上であった。患者の血中では同様のIRAK4分解が達成され、HVと比較してIRAK4が過剰発現している患者の皮膚病変ではIRAK4の正常化が見られた。疾患関連炎症性バイオマーカーの減少は、HS患者とAD患者の血中や皮膚で認められ、また皮膚病変や症状の改善を伴った。薬剤に関連した感染はなかった。我々が知る限り、本研究はヘテロ二官能性分解薬を使った臨床試験として初めての報告で、これらの結果は、HSやADにおけるKT-474の最初の概念実証を示しており、より大規模な試験でさらに確かめるべきである。ClinicalTrials.gov登録番号:NCT04772885。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度