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虐待:女性への親密なパートナーからの暴力や小児期の性的虐待にさらされた経験に関連する健康への影響 ― 証明責任研究

Nature Medicine 29, 12 doi: 10.1038/s41591-023-02629-5

女性に対する親密なパートナーからの暴力や小児期の性的虐待が健康に及ぼす影響については、完全には理解されていない。本論文では、7つの電子データベースにおいて、親密なパートナーからの暴力や小児期の性的虐待に関連する健康への影響についての文献を包括的に検索し、システマティックレビューを行った。証明責任の方法論に従い、親密なパートナーからの暴力や小児期の性的虐待と健康上の結果との関連が、少なくとも3つの研究によって裏付けられている場合に、科学的根拠の強さを評価した。その結果、親密なパートナーからの暴力は、大うつ病性障害、および妊娠女性の中絶や流産と中程度の関連があることが明らかになった(それぞれ63%および35%のリスク上昇)。HIV/AIDS、不安障害、自傷行為は、親密なパートナーからの暴力との弱い関連を示した。小児期の性的虐待は、15のアウトカムとの関連が評価され、アルコール使用障害、および自傷行為と中程度の関連があることが示された(それぞれ45%および35%のリスク上昇)。さらに11の健康上の結果(喘息や2型糖尿病など)と、小児期の性的虐待に弱い関連があることが分かった。これらの暴力行為による健康への影響の理解は、データが不足しているため、現時点では限られているが、影響はこれまでの報告よりも大きく、広範囲に及んでいることが分かる。暴力を防ぐための新たな取り組みや、回復を促し、ケアへのアクセスを確保する、科学的根拠に基づく手法が必要である。

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