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AI支援型診断:乳がんスクリーニングにおけるAI支援型読影の前向き実装による早期発見の改善

Nature Medicine 29, 12 doi: 10.1038/s41591-023-02625-9

人工知能(AI)は乳がんスクリーニングを向上させる可能性があるが、AIを実際の臨床現場に導入した場合の安全性について、前向き研究による証拠はわずかしかない。本研究では、標準的な二重読影に対して、市販のAIシステムによる補助的な読影過程を導入し、スクリーニングを受けた女性の中でさらに解釈の検討が必要な症例を選び出した。AIシステムのスクリーニング性能は、3段階、つまりパイロット研究として単一施設で運用、拡大パイロット研究として複数施設で運用、実現場での全面的な運用、において前向きに評価された。その結果、二重読影に比較して、AI支援型補助的読影過程の導入によって、がん発見が1000症例当たり0.7〜1.6症例増加し、個別受診勧奨・再勧奨は0.16〜0.30%増え、必要のない再(受診)勧奨は0〜0.23%であり、陽性的中率(PPV)は0.1〜1.9%向上した。また、AIの補助的読影により追加された人間による読影は7〜11%(総読影作業量の4〜6%増加に相当)であった。AI支援型補助的読影過程で検出されたがん疑い症例の大部分は、浸潤性(83.3%)および小型のもの(≤ 10 mm、47.0%)であった。この評価は、補助的なAI読影過程を追加すると、予後に関連する特徴を持つ乳がんの早期発見が向上し、不要な再(受診)勧奨を最小限に抑えられることを示唆している。AI支援型補助的読影ワークフローには、人間による追加の読影が必要となるが、PPVがより高いため、スクリーニングの有効性を向上できることが示唆される。

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