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髄膜腫:標的遺伝子発現プロファイリングによって髄膜腫の転帰と放射線治療への応答を予測する

Nature Medicine 29, 12 doi: 10.1038/s41591-023-02586-z

最も一般的な原発性頭蓋内腫瘍である髄膜腫の治療の中心は手術であるが、髄膜腫のリスク層別化には改善が必要であり、また術後放射線治療の適応については議論の余地がある。本論文では、髄膜腫の臨床転帰や放射線治療に対する応答を予測する標的遺伝子発現バイオマーカーの開発について報告する。髄膜腫173例からなる発見コホートにおいて、34遺伝子の発現に基づくリスクスコアを開発し、このバイオマーカーの臨床的検証と分析的検証を、3大陸12施設からの独立した髄膜腫症例(N = 1856、この中には前向き臨床試験の髄膜腫103例が含まれる)において行った。この遺伝子発現バイオマーカーによって、臨床的検証コホートでは、他の検討された全ての髄膜腫分類システム(N = 9)よりも転帰の識別が改善され、局所再発は(5年の場合)曲線下面積〔AUC〕0.81で、全生存期間は(5年の場合)AUC 0.80であった。現時点での標準治療である世界保健機関(WHO)脳腫瘍分類2021年のグレードと比較したところ、局所再発のAUCは0.11増加していた(95%信頼区間〔CI〕0.07~0.17、P < 0.001)。本研究の遺伝子発現バイオマーカーによって、術後放射線治療の恩恵を受ける髄膜腫が特定され(ハザード比0.54、95%CI 0.37~0.78、P = 0.0001)、29.8%の患者で術後管理が改善される可能性があることが示唆された。要約すると、今回の研究成果である標的遺伝子発現バイオマーカーは、髄膜腫転帰に関する識別能を向上させ、術後の放射線治療への応答を予測する。

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