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HIV:シスジェンダー女性における防御性のHIV曝露前予防内服アドヒアランスレベルのモデルに基づく予測

Nature Medicine 29, 11 doi: 10.1038/s41591-023-02615-x

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染の大部分は、医療資源が限られた環境のシスジェンダー女性で起きている。女性では、エムトリシタビン・テノホビルジソプロキシルフマル酸塩の曝露前予防(FTC/TDF-PrEP)による自己防御が、HIV予防の主要な柱である。しかし、女性での臨床試験の結果に一貫性がないことが、服薬アドヒアランスの必要条件を不確かにし、オンデマンド療法の評価に対する取り組みを消極的にさせている。我々は、公開されているFTC/TDF-PrEP試験のデータを解析し、シスジェンダー女性における有効域を決定した。「ボトムアップ」手法により、リスクグループ特異的な服薬アドヒアランス–有効性プロファイルの状況の仮説をモデル化し、臨床データを用いてこれらの仮説を調べた。その結果、その製剤を服用する女性の割合に関連して臨床転帰が異なってくることが明らかになり、これによって一貫性のあるデータの説明が可能となった。我々の解析によって、女性がいずれかの製剤を服用した場合、90%の防御が達成されることが明らかになった。男女差に関する推測に基づく仮説は、影響力の強いものでなく、臨床データと統計学的に矛盾するものでないことが分かった。我々は、臨床転帰の違いは薬剤服用行為から生じるのであり、シスジェンダー女性に特有の服薬アドヒアランスが必要となる生物学的因子があるわけではないことを提唱する。

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