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脂肪性肝疾患:代謝機能不全に関連した脂肪性肝疾患のための遺伝子から転帰まで統合されたマルチモードデータベース

Nature Medicine 29, 11 doi: 10.1038/s41591-023-02602-2

代謝機能不全に関連した脂肪性肝疾患(Metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease:MASLD)は、世界中で最も一般的な慢性肝疾患の原因であり、精密医療におけるアンメットニーズとなっている。我々は、MASLDの重症度の全範囲を網羅した、組織学的に定義された患者940人(男性55.4%、女性44.6%。ボディーマス指標〔BMI〕の中央値31.3、2型糖尿病患者32%)から構成される全国規模の後ろ向きコホートを設置し、安全で検索可能なオープンリソース(SteatoSITE)を構築した。668の症例と39の対照症例について、肝臓のバルクRNA塩基配列解読データを作成し、発現に差のある遺伝子や経路に関する解析(性差の探索も含む)を行った。また同時に、ウェブベース遺伝子ブラウザも開発した。我々は、組織病理学的評価、トランスクリプトームデータ、および567万日分のタイムスタンプ付き長期電子健康記録データを統合して、MASLDの有害な転帰に関連する、疾患ステージ特異的な遺伝子発現シグネチャー、病因性肝細胞の亜集団、およびマスター調節因子のネットワークを明らかにした。我々は、将来の肝代償不全イベントを予測するために、15遺伝子の転写リスクスコアを構築した(受信者動作特性曲線下面積は、生検後1年、3年、5年時点のリスクに対してそれぞれ0.86、0.81、0.83)。さらに、β型甲状腺ホルモン受容体のレギュロンの活性が、疾患進展の重要な抑制因子であることを確認した。SteatoSITEはバイオマーカーや医薬品の合理的な開発法をサポートし、MASLD患者に対する精密医療アプローチを容易にするものである。

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