Brief Communication

HIV:服薬アドヒアランスが不十分なシスジェンダー女性におけるHIV予防のための経口投与による曝露前予防の有効性の推定

Nature Medicine 29, 11 doi: 10.1038/s41591-023-02564-5

テノホビル(TFV)ジソプロキシルフマル酸塩やエムトリシタビンの毎日経口投与による曝露前予防(PrEP)は、服薬アドヒアランスが十分な場合に男女両方でヒト免疫不全ウイルス(HIV)獲得の予防に有効であるが、シスジェンダー女性における服薬アドヒアランスと有効性の関係は十分には明らかにされていない。我々は、3つの試験(FEM-PrEP、VOICE、Partners PrEP)のHIV発生率データや血漿中TFV濃度データを使って、シスジェンダー女性の服薬アドヒアランス–有効性曲線を計算した。我々は、TFV二リン酸(TFV-DP)濃度とTFV濃度の両方を測定した予防試験ネットワーク082研究のデータを用いて、TFVの定量化から、長期服薬アドヒアランスの基準であるTFV-DP濃度を見積もった。1週間に2錠、4錠、7錠を内服すると、HIV発生率の低下はそれぞれ59.3%(95%信用区間〔CI〕29.9~95.8%)、83.8%(95%CI 51.7~99.8%)、95.9%(95%CI 72.6~100%)であった。我々の服薬アドヒアランス–有効性曲線は、TFV-DP濃度を直接測定するHIV予防研究によって検証され、更新することができた。この曲線は、高い服薬アドヒアランスがシスジェンダー女性で高い予防効果を持つことを示唆している。しかし、不十分な服薬アドヒアランスでは有効性が低下することから、新しいPrEP製剤の使用や服薬アドヒアランスを向上させる介入の必要性が明らかとなった。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度