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心房細動:スマートフォンを用いる心房細動スクリーニング ─ 実際的な無作為化臨床試験

Nature Medicine 28, 9 doi: 10.1038/s41591-022-01979-w

デジタルスマートデバイスは心房細動(AF)を検出することが可能である。しかし、この種のデジタルスクリーニングの有効性が、治療に関連するAF検出のための通常のケア方式と直接的に比較されたことはない。我々は、eBRAVE-AF試験(NCT04250220)で、ドイツの健康保険会社の保険加入者5551人(ベースラインでAFなし、年齢中央値65歳、四分位範囲11年、女性31%)を、デジタルスクリーニング(n = 2860)もしくは通常ケア(n = 2691)に無作為に割り当てた。このサイトレス試験では、参加者はデジタルスクリーニングのために、各自のスマートフォン内の認定アプリを用いて、自分の脈波の不規則性をスクリーニングした。異常が見つかると、外部心電図(ECG)ループレコーダーによって14日目まで評価が行われた。主要評価項目は、研究に関与していない無関係な医師によって6か月以内に新たに診断され、経口抗凝固薬治療を受けたAFとした。6か月後、参加者は研究の第2段階のためのクロスオーバー試験に勧誘され、二次解析を行うために前回とは逆のグループに割り当てられた。この試験は主要評価項目を満たし、デジタルスクリーニングではどちらの試験段階でも治療関連AFの検出率が2倍以上になり、第1段階のオッズ比は2.12〔95%信頼区間(CI):1.19–3.76、P = 0.010〕、第2段階のオッズ比は2.75(95%CI:1.42–5.34、P = 0.003)だった。このデジタルスクリーニング技術は、AF検出での通常の方法と比べた場合にかなりのメリットがあり、通常のスマートフォンで広く利用できるため、広範囲に適用できる可能性がある。AFのデジタルスクリーニングが治療転帰の改善につながるかどうかを調べるには、今後の研究が必要である。

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