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患者情報保護:患者のプライバシーを保護するデジタルマスク

Nature Medicine 28, 9 doi: 10.1038/s41591-022-01966-1

医療記録に顔画像を保存すると、プライバシーのリスクが生じることになる。それはこのような画像から抽出できる個人のバイオメトリック情報の機密性のためである。こうしたリスクを最小に抑えるために、我々は「デジタルマスク(DM)」という新たな技術を開発した。DMは三次元再構成と深層学習アルゴリズムに基づく技術で、識別可能な特徴を不可逆的に消去しながら、疾患関連の特徴で診断に必要とされるものは保持する。眼疾患診断に対するこの技術を評価するための前向き臨床研究では、元の顔の動画と再構成した顔の動画の間で、診断結果は非常によく一致することが分かり(斜視、眼瞼下垂および眼振についてはκ≥ 0.845、甲状腺眼症についてはκ=0.801)、同等の診断精度 (調べた全ての眼疾患についてP≥0.131)が観察された。多肢選択法を用いたアイデンティティー除去の検証では、画像の一部を切り抜くクロッピングに比べると、DMは顔画像からずっと効率よくアイデンティティー属性を除去し得ることが分かった。我々はさらに、人工知能によりアイデンティティーを再付与するアルゴリズムを使って、DMは認識システムを回避できることを確認した。また、DMを使用することで、眼疾患患者は治療中に顔画像を健康情報として進んで提供するようになった。これらの結果は、デジタルヘルス技術の採用が急激に進む時代にあって、患者の顔画像のプライバシー保護にDMアルゴリズムが持つ可能性を示している。

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