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CAR-T細胞療法:難治性B細胞リンパ腫のCAR-T療法に対する応答に関連した異なる細胞動態

Nature Medicine 28, 9 doi: 10.1038/s41591-022-01959-0

キメラ抗原受容体(CAR)-T細胞療法は、血液悪性腫瘍の治療に大変革をもたらした。難治性大細胞型B細胞リンパ腫の患者のおよそ半数はCD19を標的とするCAR-T療法で持続的な反応が得られるが、治療失敗の機序はごくわずかな症例でしか明らかとなっていない。臨床反応の基盤について新しい知見を得るために、我々は105人の治療前および治療後の末梢血単核球細胞サンプルと、2種類のCD19 CAR-T製剤、すなわちアキシカブタゲン シロルユーセル(axi-cel)もしくはチサゲンレクルユーセル(tisa-cel)のいずれかを投与した32人の大細胞型B細胞リンパ腫患者から採取した注入産物の単一細胞トランスクリプトーム塩基配列解読を行った。増殖性記憶細胞様CD8クローンの増加は、tisa-celに対する応答の顕著な特徴であるのに対し、axi-celに応答を示した患者では、より不均一性の高い細胞集団が見られた。axi-celに対する応答が見られない患者では、制御性CAR-T細胞の増加が検出され、またこのような集団は、in vivoモデルの1つで従来のようなCAR-T細胞増殖の抑制と晩期再発の誘導が可能だった。我々の解析によって、CAR-T療法に対する有効な応答の時間的動態やさまざまなデザインのCAR-T細胞が異なる分子表現型を持つこと、そして制御性CAR-T細胞のわずかな増加が再発を引き起こす可能性があることが明らかになった。

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