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遺伝的リスク:遺伝的リスク要因は健康寿命に大きな影響を及ぼす

Nature Medicine 28, 9 doi: 10.1038/s41591-022-01957-2

遺伝的変動が疾病負荷全体に及ぼす影響は包括的に評価されていない。本論文では、遺伝的リスク要因が障害調整生存年(DALY:障害の程度や障害を有する期間を加味することによって調整した生存年数)に及ぼす影響を推定する手法を示す。我々は、735,748人の遺伝的情報を用いて、80の疾患について検討した。個人レベルでDALYに最も大きな影響を及ぼしたのは、まれなバリアントであった。一般的なバリアントの中では、rs3798220(LPA)が個人レベルで最も強力な影響を及ぼし、このバリアントを1コピー持つ場合は、まったく持たない場合に対して、1.18 DALYの影響があった。複数部位の慢性疼痛の多遺伝子スコアの上位10%に入ることは、下位90%に入る場合と比べて、3.63 DALYの影響が見られた。一般的なバリアントの一部は、ナトリウム摂取量の多さや身体活動の低さのような修正可能なリスク要因に匹敵する程度の影響が集団レベルで見られた。一部の遺伝的曝露に対しては、それに起因すると考えられるDALYが男性と女性で異なっている。遺伝的リスク要因は、個人レベルと集団レベルの両方で健康寿命の損失のかなりの年数を説明できる。

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