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筋萎縮性側索硬化症:GDNFを分泌するヒト神経前駆細胞のALS患者脊髄への移植 ─ 第1/2a相試験

Nature Medicine 28, 9 doi: 10.1038/s41591-022-01956-3

筋萎縮性側索硬化症(ALS)では運動ニューロンの進行性喪失が起こり、典型的には診断から3~5年以内に麻痺と死に至る。機能不全のアストロサイトが疾患の一因となっている可能性があり、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)が保護的に働くことがある。我々は、GDNF(CNS10-NPC-GDNF)を形質導入したヒト神経前駆細胞がアストロサイトに分化して脊髄運動ニューロンを保護し、かつ安全であることを動物モデルで明らかにした。そして、第1/2a相研究(NCT02943850)ではCNS10-NPC-GDNFが18人のALS患者の腰髄に一側性に移植された。主要評価項目である移植後1年の時点での安全性は満たされ、移植側の脚では、非移植側の脚と比較した場合、移植が運動機能にもたらす負の影響はなかった。ALSの進行で死亡した13人の組織解析では、移植片の生存とGDNF産生が明らかになった。送達部位近くの良性神経腫が、剖検時の一般的な偶発的所見として見つかった。この研究は、改変された神経前駆細胞の投与が移植後最大42か月まで、ALS患者の脊髄に新しい支持細胞とGDNF送達を提供できることを示している。

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