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乳がん転移:脳転移が起こったHER2陽性乳がん患者でのトラスツズマブ デルクステカンの治療効果 ─ 単群第2相試験

Nature Medicine 28, 9 doi: 10.1038/s41591-022-01935-8

トラスツズマブ デルクステカンは抗体薬物複合体で、ヒト上皮増殖因子受容体2型(HER2)陽性の転移性乳がん患者では頭蓋外で高い抗腫瘍活性を示す。我々は、前向き非盲検単群第2相試験であるTUXEDO-1試験を実施した。登録されたのは18歳以上のHER2陽性乳がん患者で、新たに診断された未治療の脳転移か、以前に受けた局所治療後に進行した脳への転移を有する状態、またはトラスツズマブとペルツズマブの併用治療を以前に受けたが局所療法に対する徴候が即時に見られない状態の患者であった。参加者は、体重1 kg当たり5.4 mgという標準用量のトラスツズマブデルクステカンの静脈内投与を3週間おきに受けた。主要評価項目は、neuro-oncology brain metastases criteriaによる応答評価に従って測定された頭蓋内奏効率とした。Simonの2段階デザインを用いて、奏功率が26%以下の帰無仮説と61%の対立仮説を比較した。15人の患者は、少なくとも1回は試験薬の投与を受けた「治療企図集団」に登録された。これらのうち2人(13.3%)は頭蓋内腫瘍への完全奏功、9人(60%)は部分奏功で3人(20%)は病態の安定が最良の頭蓋内奏功であり、全体としての頭蓋内奏効率の最高値は73.3%(95%信頼区間は48.1–89.1%)であった。従って事前に設定された主要評価項目は満たされた。新たな安全性シグナルは認められず、全体的なQOLおよび認知機能は治療期間を通じて維持された。今回のTUXEDO-1臨床試験(NCT04752059、EudraCT 2020-000981-41)では、トラスツズマブ デルクステカンはHER2陽性乳がんからの活動性脳転移の患者で高い頭蓋内奏効率を示し、このような状況下での治療選択肢と見なすべきである。

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