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天然痘に続いて、他の病気も根絶できるのか?

Nature Medicine 28, 9 doi: 10.1038/s41591-022-01914-z

撲滅リストのトップにあるポリオとギニア虫症は多数の難問に直面している。約35年前に世界ポリオ撲滅推進計画が始まって以来、1800万人の子どもが麻痺から救われ、患者数は99%減少した。しかし、まだ根絶には至っていない。ギニア虫症はワクチンも有効な治療法もないため、その根絶は水を介した感染を防ぐ公衆衛生対策に依存しているが、これまで驚くべき成果を上げてきた。だが、ヒト以外の動物でギニア虫感染が発見されるようになり、根絶は遠のいている。ポリオ撲滅に関する厄介な問題は、経口ワクチンに使用される生ウイルスが変異して神経毒性を回復することである。21世紀は根絶に対する環境的、社会的、政治的な障壁が存在し、撲滅運動にとって試練の時である。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)により世界の多国間主義の弱さが露呈した。まずは国ごとに撲滅を目指し、各政府はリスク・ベネフィット評価に基づいて独自の決定を下すべきである。それは単に1つの病原体に焦点を当てるのではなく、より広い医療・社会システムを考慮に入れたものでなくてはならない。

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